「洋酒卸売業免許」の基礎知識

洋酒卸売業免許とは お酒の免許申請

洋酒卸売業免許とは、読んで字のごとく「洋酒」を「卸売」できる免許です。洋酒であれば輸入酒・国産酒問わず販売でき、なおかつ輸出入も可能という、幅広いお酒を販売できる免許です。

この記事では、洋酒卸売業免許で具体的にどんなお酒を取り扱えるのか、免許申請でハードルとなる点は何かなど、洋酒卸売業免許についてわかりやすく解説しています。

目次

洋酒卸売業免許で販売できるお酒の種類とは?

洋酒卸売業免許とは、洋酒(果実酒やウイスキー・ブランデー、発泡酒、リキュールなど)を卸売できる免許です。

洋酒の定義はさまざまですが、酒税法上では下記の品目が洋酒に該当します。

品目 商品例
果実酒
甘味果実酒
ウイスキー
ブランデー
発泡酒
その他の醸造酒
スピリッツ
リキュール
粉末酒
雑酒
ワイン、スパークリングワイン
シェリー、ベルモットなど
スコッチ、バーボン、国産ウイスキーなど

ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなど
キュラソー、ベルモット、梅酒など

赤酒など

洋酒のカテゴリーであれば、国産酒・輸入酒どちらでも販売することができます。酒税法上の洋酒とは「日本酒・焼酎・ビール・みりん以外のお酒」と覚えておくとよいでしょう。

お酒の品目について 詳しくはこちら
お酒の免許申請における「酒類の品目」ってなに?

洋酒であれば輸出入もできる

洋酒卸売業免許は洋酒に限定して卸売ができる免許で、洋酒であれば国内はもちろん、海外にも卸売することができます

国内の飲食店には販売できない

国内での卸売の場合、販売できる相手は酒類販売業者(酒類小売業免許または酒類卸売業免許を持った業者)に限られ、一般消費者や飲食店に販売することはできません。

飲食店への販売を予定している人は同時に小売免許を取得する必要がありますので注意しましょう。

小売免許と卸売免許の違いについて 詳しくはこちら
「小売業免許」と「卸売業免許」の違いって何?

海外については、一般消費者や飲食店にも販売することができます。ややこしいのですが、海外へ輸出する場合は個人やレストランにも販売することができるのです。

販売できる相手 国内 海外
消費者・飲食店 ×
酒類販売業者

また、海外から仕入れた(輸入した)洋酒を国内で卸売することもできます。

輸出入卸売業免許との違いとは?

このように、洋酒卸売業免許は輸出入が可能なのですが、「それなら輸出入卸売業免許との違いは何?」と疑問に感じる人もいるでしょう。
洋酒卸売業免許と輸出入卸売業免許の違いは、取り扱えるお酒と取引方法の違いにあります。
洋酒卸売業免許は「洋酒に限り」輸出入も可能ですが、輸出入卸売業免許は自社が直接輸出入したお酒であれば「全品目のお酒」を取り扱うことができます。

  洋酒卸売業免許 輸出卸売業免許/輸入卸売業免許
取り扱えるお酒 洋酒のみ 自社が直接輸出入したお酒

また、洋酒卸売業免許は仕入れも販売も国内・海外問わず取引が可能です。他方、輸出/輸入卸売業免許は仕入れ先/販売先が海外に限定されます。

洋酒卸売業免許か輸出入卸売業免許どちらを取得するか迷ったときは、

国内での洋酒の取引がメインなら洋酒卸売業免許

・海外との取引がメインなら輸入卸売業免許または輸出卸売業免許

・両方の可能性がある場合はどちらも取得

と考えるとよいでしょう。

輸出卸売業免許について くわしくはこちら
「輸入酒類卸売業免許」の基礎知識 / 「輸出酒類卸売業免許」の基礎知識

免許申請のハードル2つ

酒類販売免許の申請にはいくつかの要件を満たす必要がありますが、洋酒卸売業免許でハードルになるのは次の2つと言えるでしょう。

・経験があるか
・取引承諾書を取得できるか

酒販免許申請の4つ要件について くわしくはこちら
必ず事前確認!お酒の免許 取得の要件とは?

経験があるか

洋酒卸売業免許では、「お酒の販売経験3年以上」または「何らかの経営経験」が必要となります。

   具体的には・・・
    ・お酒の販売業または製造業で3年以上働いた経験
    ・味噌や醤油などの調味食品等の販売業を3年以上経営している    
    ・他業種での経営経験+酒類販売管理研修の受講

なお、申請者の経験や知識などを総合的に勘案して審査されますので、これらの経験がない場合でも、酒類販売管理研修を受講することで申請できる可能性もあります。

経験の要件を満たせるか心配な場合は、酒類指導官のいる税務署に相談してみるとよいでしょう。

酒販免許申請で必要な経験についてはこちら
お酒の免許 取得にはお酒の販売経験が必要?

取引承諾書を取得できるか

酒類卸売免許の申請では、「取引先の予定があること」が必要です。その証明書類として「取引承諾書」を提出することになっています。

取引承諾書の取得方法や記載内容についてはこちら
お酒の免許申請に必要な取引承諾書とは?

ここで注意しておきたいポイントとして、洋酒卸売業免許自体は「洋酒であれば何でも卸売できる免許」なのですが、免許上取り扱える品目が取引先が扱う品目に限定される場合があるという点です。

例えば、取引承諾書を取得した相手がワイナリーのみの場合は、「果実酒の卸売に限る」といった免許条件を付与される可能性があります。

幅広い品目を取り扱いたい場合は、

・多くの品目を取り扱っている取引先に承諾書を書いてもらう

・取り扱い品目の異なる複数の取引先に承諾書を書いてもらう

といった対応が必要になります。

すべての品目を網羅する必要はありませんが、多くの品目を扱える取引先がいれば、品目制限のない免許を取得することができます。 さまざまな種類の洋酒を販売したい場合は、取引先が扱っている酒類の品目を事前に確認しておきましょう。

まとめ

・洋酒卸売業免許は「日本酒・焼酎・ビール・みりん以外のお酒」を卸売りできる免許
・卸売免許のため飲食店への販売はできない
・洋酒卸売業免許申請で必要なのは「経験」と「取引承諾書」
・幅広い洋酒を取り扱いたい場合は、多くの品目を扱う取引先から承諾書を取得する