酒類販売管理者とは何をする人?誰がなれる?

酒類販売管理者とは何をする人?誰がなれる? 酒税法

お酒の小売免許を取得する場合には、販売場(店舗や事務所)ごとに「酒類販売管理者」を1人選任することとなっています。「酒類販売管理者」とは、お酒の販売管理の責任者のことで、一定の条件を満たす人を酒類販売管理者に選任することになっています。

酒類販売管理者になった人は、3年に1回酒類販売管理研修を再受講する必要があります。

目次

「酒類販売管理者」は何をする人?

「酒類販売管理者」とは、お酒の販売管理や従業員への指導を行う販売場の責任者のことです。

お酒の小売業免許(店舗やインターネットで個人・飲食店にお酒を販売する免許)を取得する場合に、申請場所となる店舗や事務所ごとに酒類販売管理者を1人選任する必要があります(卸売業免許のみの場合は不要です)。

酒類販売管理者を選任しないと50万円以下の罰金に処されることがあり、この罰則を受けると免許の取消要件に該当し、免許を取り消されることがあります。

酒類販売管理者は、酒類小売業者に対して適切な販売管理を行うようアドバイスをしたり、お酒の販売を行う従業員に指導をすることとなっています。 具体的には、お酒の販売管理についての社内研修の実施を助言したり、年齢確認を徹底するよう従業員に教育するなどを行います。

酒類販売管理者が行わなければならない助言又は指導の主なものは、次のとおりである。
(1) 酒類小売業者に対する助言
イ 二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準をはじめ、酒類の販売業務を行うに当たって遵守すべき法令に基づいた適正な販売管理の確保を図るための必要な措置に関する事項
ロ 酒類の販売業務に従事する使用人その他の従業者に対する指導が徹底されるための体制の整備に関する事項

(2) 使用人その他の従業者に対する指導
イ 20歳未満と思われる者に対する年齢確認の実施及び酒類の陳列場所における表示など酒類の販売業務を行うに当たって遵守すべき法令に関する事項
ロ アルコール飲料としての酒類の特性や酒類の商品知識等の修得に関する事項
(注) 使用人その他の従業者に対する指導は、社内研修等を通じて実施する。

【国税庁HP:第86条の9 酒類販売管理者

また、お酒の販売管理の知識を身に付けるために、3年を超えない期間ごと「酒類販売管理研修」を再受講する必要があります。

酒類販売管理者になるのは、お酒の販売管理やお酒に関する法令などについての知識があること、指導や助言などができる責任ある立場の人(酒屋さんであれば店長など)が望ましいでしょう。

【具体例あり】酒類販売管理者になれる人・なれない人

酒類販売管理者になれるのは、次の条件を満たす人です。

・実際に販売場で酒類の販売業務に従事している人(単に管理者というポストに就いているだけではダメ)
・引き続き6ヶ月以上の期間雇用を予定している人
・他の販売場で酒類販売管理者に選任されていない人 ・20歳以上の人

パート・アルバイトでもなれるけど、派遣の人はなれない

酒類販売管理者は、正社員でなくても、パートやアルバイト、契約社員の人でも雇用形態を問わず酒類販売管理者になることができます

パートやアルバイトは、雇用契約上は6か月に満たない期間の契約となっている場合もありますが、これまでも契約を更新していて、今後も更新されることが見込まれる場合には選任できることとなっています。

派遣の人は酒類の小売業者との間に雇用関係はないことから、酒類販売管理者にはなれないこととなっています。

なお、正社員の人がいる場合は、適正な販売管理のために正社員の人が管理者となるのが望ましいでしょう。

酒類販売管理者が不在になる時間があってもいい?

酒類販売管理者は、基本的に販売場に滞在している人がなりますが、常駐する義務はありません。

ただし、酒類販売管理者が不在になる時間が長時間(2~3時間以上)ある場合は、酒類販売管理者に代わる責任者を指名・配置しておくこととなっています。24時間営業のお店の場合は特に、管理者が不在の時間(夜間など)が長時間発生するでしょうから、責任者を置く必要があります。

お昼休憩のときだけ不在になる程度なら、責任者は指名しなくてもよいことになっています。

責任者になる人は酒類販売管理研修を受講する必要はありません。
【国税庁HP:酒類販売管理者制度に関するQ&A

具体例

・雇用契約上、雇用期間が3か月となっているアルバイトの人
都度更新をしており、更新が見込まれるならOK

・派遣会社から派遣されている人
酒類小売業者との雇用関係がないためNG

・不定期で店舗に顔を出すエリアマネージャー
「実際に販売場で酒類の販売業務に従事している」とはいえないためNG

・24時間営業・定休日なしのお店で、週5日・9時~18時勤務の人
OK。夜間は長時間不在になるため、酒類販売管理者に代わる「責任者」を指名・配置しておく必要があります。

酒類販売管理者の登録手続き(酒類販売管理者選任届出書の提出)

酒類販売管理者は、お酒の販売業を開始するときまでに「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を税務署に提出して登録することになっています。

選任届出書を提出していないと、10万円以下の過料に処されることがありますので必ず提出しましょう。

【国税庁HP:[手続名]酒類販売管理者の選任(解任)の届出手続

酒類販売管理者になる人は3年以内に酒類販売管理研修を受講している必要がありますので、酒類販売業免許を申請することが決まったら、あらかじめ酒類販売管理者になる人を決めておき、その人が研修未受講であれば早めに受講するようにしましょう。

酒類販売管理研修について、くわしくはこちら
→「お酒の免許 『酒類販売管理研修』とは?

行政書士に酒類販売業免許の取得を依頼した場合は、酒類販売管理者選任届出書の作成まで行ってくれることもありますので、確認しておくとよいでしょう。

酒類販売管理者の標識を掲示する

酒類の販売場ごとに、酒類販売管理者に関する標識を見やすい場所に掲げることとなっています。「公衆の見やすい場所」であれば、レジ横でもお酒の陳列棚付近でもOKです。

普段の買い物で気付く人は少ないかもしれませんが、お酒の売り場には必ずこの標識が掲げられています。

記載項目は次の5つです。

・販売場の名称及び所在地
・酒類販売管理者の氏名
・酒類販売管理研修受講年月日
・次回研修の受講期限
・研修実施団体名

インターネットの場合は、商品ページのわかりやすいところや特定商取引法に基づく表示のページなどに上記の標識を掲載してもよいですし、酒類販売管理者標識のページを作成してそちらに表示してもよいです。

国税庁のホームページに標識のひな形がありますので、こちらを利用してもよいでしょう。酒類販売管理研修の受講証内に標識が記載されていることがありますので、その場合は受講証を掲示しても大丈夫です。

【国税庁HP:酒類の販売管理

酒類販売管理者を変更するときは届出が必要

酒類販売管理者を変更するときは、変更から2週間以内に所轄税務署に「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を提出する必要があります。

この届出書は、解任と選任の両方を兼ねているので、変更の際は届出書1枚の提出でOKです。酒類販売管理者が住所を変更する場合には、手続きは必要ありません。

酒類販売管理者に期限はある?

酒類販売管理者に期限はありません。酒類販売管理研修を3年を超えない期間ごとに受講していれば、同じ人を酒類販売管理者に選任しても大丈夫です。

ただし、酒類販売管理者標識の「酒類販売管理研修受講年月日」「次回研修の受講期限」「研修実施団体名」は、研修を受講する度に更新するということを覚えておきましょう。

まとめ

・酒類販売管理者とは、お酒の販売管理の責任者

・販売場に1人酒類販売管理者が必要

・酒類販売管理者の選任や変更の際は必ず税務署への届け出が必要

・販売場に酒類販売管理者標識を掲示する(ネットショップの場合はサイト内に酒類販売管理者標識を掲載する)

・酒類販売管理者は3年を超えない期間ごとに酒類販売管理研修の再受講が必要