お酒の免許の添付書類 「定款」の変更登記が必要な場合とは?

添付書類

会社で酒類販売業免許を申請する場合、定款のコピーを提出する必要があります。

定款の事業目的に「酒類販売業」など、お酒の販売業を行うことがわかる文言が記載されている必要があり、その文言がない場合は事業目的を追加する必要があります。

目次

定款の事業目的をチェック!

「定款」とは、会社の設立時に作成する、会社に関する情報や規則を記載した書類のことです。

法人として酒類販売業免許を取得しようとする場合、会社の定款のコピーを添付書類として提出することになります。

定款には必ず会社の「事業目的」が記載されています。

酒類販売業免許の審査では、定款の事業目的に「酒類販売業」など、お酒の販売を事業として行うことが読み取れる文言があるかどうかが見られます。

会社は定款に記載された事業目的の範囲で事業を行うことになっていますので、定款に記載がないと事業目的の範囲外となってしまいます。

民法、会社法の条文(規定)から、事業目的の範囲内での事業を行なうことが求められますので、酒類販売業免許の審査のためというよりも、今後会社がお酒の取引を行うために定めておくものと考えた方がよいでしょう。

事業目的から酒類販売業が読み取れないときは、変更登記が必要

会社設立の時点で、酒類の販売事業を想定している場合には、事業目的に「酒類販売業」などと記載していると思われますが、事業拡大など、その後の事業展開の変化により酒類販売事業を開始する場合には、事業目的に記載がない会社もあるのではないでしょうか。

定款の事業目的に「お酒の販売を行う」といった内容が入っていない場合は、定款の変更が必要です。

定款は会社の要となる情報や規則を定めたものですから、担当者が容易に変更してよいものではなく、株主総会の特別決議が必要となります。

変更登記は、①株主総会での決議、②議事録の作成、③登記という流れで行うことになります。まずは株主総会を開催する必要がありますが、定款変更は、特別決議(議決権の過半数を有する株主の出席と出席した議決権を持つ株主の3分の2以上の賛成)が必要な決議です。

その後、議決した内容を記載した株主総会議事録を作成し、法務局へ変更登記申請を行い、申請後1~2週間で登記が完了します。

定款の変更は株主総会での決議や登記申請で時間がかかるということを念頭に置いておきましょう。

なお、酒類販売業免許申請の際は、変更登記前の定款のコピーを提出しても構いません。申請後、株主総会の議事録のコピーまたは変更後の定款を後追いで提出すればよい場合もあります。

これから始める事業に合った事業目的を記載しましょう

これから変更登記をする会社や、法人を設立予定の人は、定款の事業目的に酒類販売業がわかる文言を入れましょう。

具体的には、取得しようとする免許の種類によって異なりますが、例えば、

「店頭販売とネットショップで販売したい」
「酒類の小売および通信販売業」

「お店で販売し、事業がうまくいけば輸出入や国内での卸売業も行っていきたい」
「酒類の小売、通信販売、輸出入および卸売業」

などとするとよいでしょう。

最もおすすめする文言は、「酒類の販売」「酒類販売業」です。 「酒類の販売」という文言には、小売や通信販売、輸出入、卸売すべての事業形態が含まれますので、迷ったときは「酒類の販売」「酒類販売業」とするとよいでしょう。

飲食店併設でお酒の販売を行う場合、「飲食店の経営」だけではNG!

現在、飲食店を経営しているなら、定款の事業目的に「飲食店の経営」「飲食業」などが入っていることでしょう。

「『飲食』ということばに『お酒の提供』が含まれているから、定款変更しなくていいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、飲食店は飲食店営業許可に基づく事業、お酒の販売は酒類販売業免許に基づく事業と、全く別々の事業になります。

お酒の提供を前提とした飲食店の経営であっても、お酒の販売については別途事業目的に定める必要があります。

飲食店併設で酒類販売業免許を取得するのは難易度が高いため、事前に税務署の酒類指導官や専門の行政書士に相談するのがおすすめです。

飲食店でお酒の免許を取得する際のポイントについては、こちらで解説しています。
→「飲食店で酒類販売免許を取得するには?

まとめ

・定款の事業目的に「お酒の販売を事業として行う」ことが読み取れる文言が必要

・定款変更は、株主総会での特別決議と法務局への変更登記が必要

・定款に追加する文言は、「酒類の販売」「酒類販売業」がおすすめ