お酒の免許申請用の納税証明書 取得の際の注意点

お酒の免許申請の納税証明書 添付書類

酒類販売業免許の申請には、地方税の納税証明書を提出する必要があります。

納税証明書は、納税地の県税事務所や市区町村役場などで取得できますが、申請する公共団体ごとに違いがあり、お酒の免許申請用の納税証明書が無いこともあります。

今回は、酒類販売免許申請に必要な納税証明書についてみてみたいと思います。

目次

酒税法10条第6号の規定

酒税法第10条第6号には、次のように規定され、該当する場合には、酒類販売業免許を申請することができません

免許の申請者が当該申請前2年以内において、国税又は地方税滞納処分を受けた者である場合

酒税法第10条第6号

酒類の製造免許又は酒類の販売業免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合その他その経営の基礎が貧弱であると認められる場合

酒税法第10条第10号

このように、酒類販売免許は、国税、地方税の滞納処分を受けて2年が経過しない場合と、国税、地方税を滞納している場合には経営の基礎が貧弱であると判断され、欠格要件(人的要件、経営基礎要件)に該当することとなります。

「お酒の免許要件」については、こちらでも解説しています。
→ 必ず事前確認!お酒の免許 取得の要件とは?

お酒の免許申請で必要なのは地方税の納税証明書

酒類販売免許を申請する際に必要となるのは、「地方税納税証明書」です。

地方税は、都道府県税と市町村税に分けられ、賦課・徴収を行っているのは、地方公共団体となります。

国税については、賦課・徴収を行っているのは、税務署です。

酒類販売免許申請書の審査を行う機関が税務署であるため、国税に対する納付状況については税務署で確認することができます。

そのため、酒類販売免許を申請する際には、国税の納税証明書の提出は不要となります。

納税証明書の証明内容は2つ

酒類販売免許の申請に必要な納税証明書には、「全税目(すべての税)」について、次の2項目の証明が必要となります。

1.過去2年以内に滞納処分を受けたことがないこと
2.現に未納の税がないこと

酒類販売免許の申請時点で、この2項目どちらもが証明されなければなりません。

審査中に、未納の税が発覚したなどの場合には、審査が中断することや、申請自体を取り下げなくてはならなくなる場合もあります。

例えば、法人申請において、役員の中に税金をしっかりと納付していない人がいる場合には、納付されたことが確認できるまで審査が中断します。

または、申請者が2年以内に滞納処分を受けていたことが発覚した場合には、審査期間中でも申請を取り下げなければならなくなります。

酒類販売免許を申請する際には、未納の税がないことや、申請者に滞納処分を受けた人がいないことをしっかりと事前確認しましょう。

納税証明書の取得方法

地方税の納税証明書は、納税地の地方公共団体(都道府県、市区町村)に申請し、交付を受けます。

納税地とは、個人の場合は住所地、法人の場合には、本店または主たる事務所の所在地となります。

東京都23区内の法人については、都の特例として、市町村民税相当分も併せて、都民税として徴収されます。そのため、都税に対する納税証明書のみを取得すれば足ります。

個人の場合や、法人でも納税地が東京都23区外の場合は、都道府県税と市区町村税のそれぞれについて、納税証明書の交付申請を行う必要があります。

それでは、都道府県税・市区町村税それぞれについて、納税証明書取得の流れについてみてみたいと思います。

都道府県税の納税証明書

都道府県税の納税証明書を取得する場合は、納税地の所在地を管轄する都道府県税事務所に交付申請します。手数料は400円から800円程度です。

管轄の都道府県税事務所に行き、窓口で申請することができます。また、郵送による交付申請もできますが、郵送の場合は、取得までに数日かかることとなります。

代理人による交付申請もできますが、申請の際には、委任状が必要となります。

各都道府県のホームページでは、納税証明書交付申請書の様式をダウンロードすることができます。

個人用、法人用、あるいは、窓口用、郵送用などの様式が用意されていることもあるので、申請方法に合わせたものを使用しましょう。

納税証明書の交付申請には、申請者の身分証明書等が必要となる場合もあるので、事前に電話で必要書類や手数料を確認し、必ず「酒類販売業免許申請用の納税証明書を取得したいことを伝えましょう。

市区町村税の納税証明書

納税地の市区町村役場に交付申請します。手数料は400円から800円程度です。

市区町村役場の窓口、もしくは、郵送で交付申請できます。

市区町村によっては、代理人による申請が不可の場合や、郵送による交付申請は納税者本人からのみといった場合もあります。事前に電話などで確認しましょう。

各市区町村のホームページでは、納税証明書交付申請書の様式をダウンロードすることができます。

個人用、法人用、あるいは、窓口用、郵送用などの様式が用意されていることもあるので、申請方法に合わせたものを使用しましょう。

不慣れな担当者(窓口)の場合には、正確な答えを貰えないこともあります。

しっかりと、「お酒の免許の申請に必要な納税証明書」を取得したい旨を伝え、申請手順を把握している担当者に問合せすることをおすすめします。

交付された納税証明書はしっかりと内容を確認しましょう

交付されたら速やかに、➀過去2年以内に滞納処分を受けたことがない旨、➁現に未納の税がない旨、の2項目が証明されているかを確認しましょう。

2項目ともが証明されていないと、酒類販売免許申請では使用できません。

お酒の免許申請用の納税証明書がない?

地方公共団体によっては、酒類販売免許申請用の納税証明書がないこともあります。

その場合には、替わりとなる証明書を交付してもらいましょう。 地方公共団体には、徴収金に関する申請者の請求に対しは、交付する義務があります。

(納税証明書の交付)

地方団体の長は、地方団体の徴収金と競合する債権に係る担保権の設定その他の目的で、地方団体の徴収金の納付又は納入すべき額その他地方団体の徴収金に関する事項のうち政令で定める者についての証明書の交付を請求する者があるときは、その者に関するものに限り、これを交付しなければならない

地方税法 第20条の10

酒類販売免許申請には、➀過去2年以内に滞納処分を受けたことがない旨、➁現に未納の税がない旨、の2項目の証明が必要です。
証明願」、「完納証明」などといった証明書により、酒類販売免許申請に必要な証明書を交付してもらいましょう。

どうしても証明書を出してもらえないときは、税務署や専門特化した行政書士に相談するとよいでしょう。

まとめ

・酒類販売業免許申請には、「地方税の納税証明書」が必要
・証明内容は、全税目に対して次の2項目
  過去2年以内に滞納処分を受けたことがない旨
  現に未納の税がない旨
・地方税とは、都道府県税と市区町村税のこと
・納税証明書は、都道府県税事務所、市区町村役場に交付申請 ・納税証明書がうまく取得できない場合は、税務署や専門特化した行政書士に相談しましょう