お酒の免許を賃貸物件で申請する場合のポイント

添付書類

酒類販売業免許では、「申請する販売場について使用権限があること」が審査されます。申請販売場の土地、建物、設備等が賃貸物件の場合は、賃貸借契約書等のコピーを提出する必要があります。

賃貸借契約の内容によっては、賃貸借契約書の他にも必要な書類がある場合もありますので、事前に確認して準備しましょう。

目次

なぜ賃貸借契約書を提出しなければいけないの

酒類販売業免許を受けるためには、申請する場所が申請者にお酒の販売場としての使用権限がある場所である必要があります。

貸主(所有者)の許可なく無断で使っているような場所では、当然お酒の販売場所としては認められません。

「この場所は貸主と正式に契約して借りている場所で、お酒の販売場として確実に私が使用できる場所です」ということを証明する書類として、賃貸借契約書のコピーを提出します。

国税庁の手引では下記のとおり記載されています。

⑥契約書等の写し(申請書次葉3付属書類) 土地、建物、設備等が賃貸借の場合は賃貸借契約書等の写し、建物が未建築の場合は請負契約書等の写し、農地の場合は農地転用許可に係る証明書等の写しを提出してください。

国税庁 一般酒類小売業免許申請の手引】P.21

酒類販売業免許申請では、賃貸借契約書はコピーの提出でよく、原本の提出は不要です。

申請する場所が賃貸物件のときに提出が必要

酒類販売業免許の申請にあたって、申請場所が賃貸物件の場合には賃貸借契約書等のコピーの提出が必要になります。

賃貸物件とは、以下のような物件です。
・貸店舗
・貸事務所(賃貸オフィス)
・賃貸マンション、賃貸アパート
・貸倉庫 など

お酒の販売場として申請する場所が自己所有の物件の場合は、戸建て・マンションに関わらず賃貸借契約書は不要です。 ただし、自己所有のマンションの場合は、賃貸借契約書は不要ですが、マンション管理組合等からの「使用承諾書」という書類が必要なことがありますので注意しましょう。

賃貸借契約書の「使用目的」「使用用途」を必ずチェック!追加書類が必要な場合も

賃貸借契約書では、賃料、敷金、契約期間などの契約内容が記載されていますが、契約書によっては「使用目的」や「使用用途」といった契約事項が記載されている場合があります。

賃貸マンション・賃貸アパートの場合

使用目的が「居住専用」となっている場合がほとんどです。

貸店舗・貸事務所(賃貸オフィス)の場合

使用用途を「〇〇業に限る」など特定の業種のみに使用を認めている場合があります(業種指定)。

業種指定がされている場合は、「酒類販売業」などが記載されている必要がありますが、「酒類販売業」の記載はほとんどの場合ないと言ってよいでしょう。

上記のような場合は、お酒の販売業を行う場所として使用することを貸主が認めているかの判断はできません。 賃貸借契約書で使用目的や使用用途が限定されている場合は、貸主が当該貸室でお酒の販売を行うことを承諾した「使用承諾書」の提出も必要になることがあります。

使用承諾書については、こちらで解説しています。
→「書き方見本あり!お酒の免許で必要な使用承諾書とは?

賃貸借契約書を確認し、使用目的や使用用途が限定されていないかどうかチェックしましょう。

これから賃貸借契約を結ぶ予定の人は、事前に貸主に「お酒の販売場所として申請したい」と伝えたうえで、使用目的や使用用途として「酒類販売業」など、お酒の販売場所に使ってよいことがわかる文言を賃貸借契約書に盛り込んでもらえるかどうか、打診してみるとよいでしょう。

賃貸借契約書がない!そんなときはどうすればいい?

「賃貸借契約書を失くしてしまった」「家族や親族が所有する建物を借りていて、賃貸借契約書を作っていない」という人もいるのではないでしょうか。

酒類販売業免許申請では、申請場所が賃貸物件の場合には賃貸借契約書は必須の書類になります。
賃貸借契約書を紛失してしまった場合は、貸主に再発行してもらうか、貸主にコピーを取ってもらうようにしましょう。

そもそも賃貸借契約書を作っていないという人は、事業の安定のためにも新たに賃貸借契約書を作成することをおすすめします。賃貸借契約書を準備するのが難しい場合は、貸主からの「使用承諾書」を賃貸借契約書の代わりとして提出することができる場合があります。

賃貸借契約を交わしておらず、新たに賃貸借契約書を作成するのが難しい場合は、税務署の酒類指導官または専門の行政書士に相談するとよいでしょう。

転貸借契約なら原契約の書類も必要!

転貸借契約、いわゆる「又貸し」の場合には、転貸契約と原契約(建物所有者と賃借人)の両方の賃貸借契約書が必要になります。

国税庁の手引には下記のように記載されています。

1 申請販売場の土地、建物、設備等が賃借物件の場合 賃貸借契約書等(申請販売場の建物等を確実に使用できることが確認できる書類)の写し(転貸の場合は所有者から申請者までの賃貸借契約書等の写し)を添付してください。

国税庁 一般酒類小売業免許申請の手引】P.40

例)Aさんが所有する建物をBさんが借りて、さらにそのBさんからCさん(申請者)が借りている場合

この場合、以下の書類の提出が必要になります。

・転貸借契約書(B-C間)
・賃貸借契約書(A-B間)
・申請者(Cさん)が貸室を使用することについて、建物所有者(Aさん)が承諾していることがわかる書類(「転貸承諾書」など)

酒類販売業免許申請の際、お酒の販売場として申請する場所が転貸物件の場合には、転貸契約(B-C間)と原契約(A-B間)双方の賃貸借契約書のコピーを提出します。

親会社や知り合いのオフィスに間借りするなどの場合には、「同居承諾書」という書類が必要になります。

申請場所が転貸物件でどのような書類を準備すればよいか迷ったら、税務署の酒類指導官または専門の行政書士に相談するとよいでしょう。

まとめ

・申請する販売場が賃貸物件の場合は、添付書類として賃貸借契約書のコピーを提出する必要がある

・賃貸借契約の「使用目的」や「使用用途」が限定されている場合、賃貸人から「使用承諾書」の取得が必要

・転貸物件の場合は原契約・転貸契約の両方の賃貸借契約書を提出する