「酒類販売業免許申請書」作成方法 徹底解説

酒税法

お酒の販売を行うためには、酒類販売業免許が必要となりますが、酒類販売業免許を取得するためには、酒類販売業免許申請書を作成しなければなりません。

これまでに、酒類販売業免許申請書の作成に挑戦してみたものの、書き方や必要な様式が分からず断念した人もいるのではないでしょうか? 今回は、酒類販売業免許申請書の作成方法について解説したいと思います。

目次

酒類販売業免許申請書(様式)を準備しましょう!

酒類販売業免許申請の際に必要となる提出用紙(申請様式)は、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

(PDF)

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sake/annai/23600071.htm

(Word)

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/tebiki/oroshiuri/index.htm

また、申請書の様式は、最寄りの税務署にてもらうこともできますので、税務署窓口に問い合わせてみましょう。

準備する様式

様式 様式番号  
酒類販売業免許申請書 CC1-5104  
次葉1 CC1-5104-1(1) 販売場の近隣周辺の見取図
次葉2 CC1-5104-1(2) 販売場内のレイアウト図
次葉3 CC1-5104-1(3) 販売場の設備状況
次葉4 CC1-5104-1(4) 収支の見込み
次葉5 CC1-5104-1(5) 所要資金の額、調達方法
次葉6 CC1-5104-1(6) 酒類販売の管理に関する取組計画
免許申請チェック表    
免許要件誓約書 CC1-5104-8 欠格要件に該当する事実がないことについての誓約
複数申請等一覧表   複数店舗での同時申請の場合

酒類販売免許申請書を作成しましょう

様式が準備できたら、さっそく「酒類販売業免許申請書」の作成をはじめましょう。

様式を確認しながら順に、申請書を作成します。

酒類販売業免許申請書(CC1-5104)の作成

まず、酒類販売業免許申請書(様式:酒類販売業免許申請書  CC1-5104)の記載から始めるとよいでしょう。 申請書に添付する証明書類等の記載事項を参考に、申請書の項目を記入します。

①申請する酒類販売場の所在地を管轄する税務署を記載します。
 管轄税務署が分からない場合は、国税庁のホームページにて、郵便番号から管轄税務署を調べることができます。

【税務署の所在地などを知りたい方】
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

②法人の場合:履歴事項全部証明書に記載の本店所在地を記入します。
 個人の場合:住民票に記載の住所を記入します。

③事業の拠点の電話番号を記入します。
 法人の場合:本社(本店)の電話番号や事業の拠点の電話番号を記入します。
 個人の場合:自宅、携帯電話等の番号や、事務の拠点の電話番号等を記入します。

④履歴事項全部証明書に記載の社名、代表者名を記入します。
 個人の場合は、申請者の氏名となります。

(例)
法人の場合:株式会社アクセス 代表取締役 酒元 一蔵  ※法人名称、代表者氏名
個人の場合:酒元 四蔵  ※氏名のみ

⑤酒類販売業免許申請では、販売場の建物が建っている土地(底地)の地番を記入しなければなりません。
 複数の地番にまたがっている場合は、すべての地番を記入する必要があります。

建物の底地については、販売場として使用する建物の全部事項証明書(建物)に記載されています。
また、販売場を特定するため、「建物名称」、「部屋番号」、「階数」なども併記しましょう。複数階にまたがっている場合には、全ての階を記入します。

(例)
東京都小平市●●町一丁目1番1、1番2及び1番5 ●●ビル●●●号室
             地番          建物名称

⑥住居表示は、郵便物が届く販売場住所を記入します。
 住居表示については、市区町村が定めた表示を記入するとよいでしょう。
 正式な住居表示については、各市区町村役場に問い合わせて確認しましょう。

⑦名称とは、「屋号」のことです。申請販売場の店舗名を記入します。
 例えば、「○○酒店」、「○○○ 本店」、「○○ 支店」などと記入しましょう。
 電話番号については、販売場の電話番号となります。個人申請の場合には、携帯番号でも申請は可能です。

⑧事業の主とする業態を、選択肢から選択します。
(業態の区分)
 ・一般酒販店:酒屋、酒類専門店 など
 ・コンビニエンスストア
 ・スーパーマーケット
 ・百貨店
 ・量販店:ディスカウントストア など
 ・業務用卸主体店
 ・ホームセンター
 ・ドラッグストア
 ・その他:ギフトショップ、ピザ宅配店、弁当・惣菜店、リサイクルショップ、商社など

⑨酒類小売販売では、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選任しなければなりません。
 選任する酒類販売管理者の氏名、役職、生年月日を記入します。

酒類販売管理者は、「過去3年以内に酒類販売管理研修を受講している者」でなければなりません。研修の申込みも忘れずに行いましょう。

⑩販売スキームに合わせた酒類販売業免許の種類を記入します。
 いくつかの免許を同時に取得したい場合は、取得する免許の種類を並記します。

 (例)
  一般酒類小売業免許 / 通信販売酒類小売業免許 / 洋酒卸売業免許

⑪「販売しようとする酒類の品目の範囲及び販売方法」とは、販売条件のことで、免許の種類ごとに異なります。

(例)

免許の種類 免許条件
一般酒類小売業免許 全酒類
通信販売を除く小売に限る。
通信販売酒類小売業免許 (1)販売する酒類の範囲は、輸入酒に限る。
(2)酒類の販売方法は、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として、カタログ等(インターネット等によるものを含む。)を使用して販売のための誘引行為を行い、通信手段により購入の申込みを受け、配達により商品の引渡しを行う小売販売で、かつ、酒類の購入申込者が20歳未満の者でないことを確認できる手段を講ずる場合に限る。
輸出酒類卸売業免許 自己が輸出する酒類の卸売に限る
輸入酒類小売業免許 自己が輸入する酒類の卸売に限る
洋酒卸売業免許 果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒の卸売に限る
自己商標酒類卸売業免許 自らが開発した商標又は銘柄の酒類の卸売に限る

「酒類販売業免許申請の手引」などを参考にするとよいでしょう。

⑫申請の理由については、販売の経緯、販売の方法(一般消費者への販売、飲食店への卸売、インターネットによる通信販売 など)などを整理して記入しましょう。

⑬、⑭、⑮「すでに有している主たる酒類販売場の明細」については、本店ですでに酒類販売を行っているなど、申請販売場以外の店舗ですでに酒類販売を行っている場合に、有している酒類販売業免許の販売場所在地、販売場名、管轄税務署を記入します。

酒類販売業免許申請書の作成は以上となります。

ここからは、「次葉」の作成を進めていきます。

次葉の作成

酒類販売表免許申請では、免許申請書以外の用紙を「次葉(じよう)」といいます。

酒類販売業免許申請で作成しなければならない次葉は、全部で6様式(次葉1から次葉6)あります。 それでは、順番に作成内容を確認してみましょう。

次葉1 販売場の敷地の状況 (CC1-5104-1(1))を作成しよう

販売場の周辺図を作成し、建物の全体と販売場の位置を明示します。 「所在地」については、酒類販売業免許申請書でも記入した、地番を建物名称等までを含み記入します。

次葉2 建物等の配置図 (CC1-5104-1(2)) を作成しよう

次葉2は、建物の構造や販売場設備を示す図面です。
販売場内のレイアウト図を作成しましょう。 建物の平面図や間取図などがあると、作成しやすいかもしれません。

販売場図面の中には、免許の種類にもよりますが、「陳列場所の表示」、「明確に区分する表示」、「酒類販売管理者標識」の掲示場所、パソコン、レジ、什器などを明示します。
酒類の在庫置場を確保できる場合には、あわせて記載するとよいでしょう。

次葉3 事業の概要 (CC1-5104-1(3)) を作成しよう

次葉3は、販売場の設備状況について記載する用紙です。

①敷地の面積を記入します。
 取得した全部事項証明書(土地)の「地積 ㎡」を確認しましょう。
 複数の土地にまたがっている場合は、すべての土地の地積の合計を記入します。

②建物のフロア面積を記載します。
 取得した全部事項証明書(建物)の「床面積 ㎡」を記入しましょう。

③店舗(または事務所)として使用する部分の床面積を記入します。
 賃貸借契約書や建物平面図などから使用部分(店舗部分)の床面積を確認しましょう。

④売場とは別に事務所スペースを確保できる場合に記入します。
 建物平面図や間取図などから算出しましょう。

⑤売場とは別に、在庫保管場所など倉庫として使用できるスペースがある場合に記入します。
 建物平面図や間取図などから算出しましょう。

⑥販売場専用の駐車スペースがある場合に記入します。
 賃貸借契約書や敷地平面図などから算出しましょう。

⑦申請者専用の、酒類販売事業で使用する車両を所有している場合に記入します。

⑧次葉2で作成した販売場レイアウト図面に従い、販売場内の設備について台数を記入します。

⑨酒類販売事業に従事する従業員の人数を記入します。
 従業員の他に、パートやアルバイトの人がいる場合には、あわせて記入しましょう。

次葉4 収支の見込み (CC1-5104-1(4)) を作成しよう

次葉4は、これから始める酒類販売事業についての年間の収支見込です。
前年の事業実績などを参考に作成するとよいでしょう。

①取り扱う酒類の仕入先を記入します。
 酒類販売業免許は、「販売を行う予定」では取得することができません。酒類販売業免許を申請する時点で取引先を決定しておくことが必要となります。
 取引先は、「酒類小売業免許」を取得している酒販業者ではなく、事業者間の取引を行える「酒類卸売業免許」を取得している酒類販売業者を記入しましょう。

酒類卸売業免許を取得する場合には、記入する取引先との「取引承諾書」が必要となります。

通信販売酒類小売業免許を取得し、国産酒類の販売を行う場合は、「課税移出数量証明書」を取得した取引先を記入しましょう。

②小売業免許の場合は、一般消費者への販売しか行うことができません。
 一般消費者(飲食店も含む)や、インターネット閲覧者となります。
 酒類卸売業免許を取得する場合には、記入する取引先との「取引承諾書」が必要となります。

③年間の酒類の販売見込額を記入します。

④本業の前年度の売上等を参考に算出し、記入しましょう。
 酒類以外の売上を記入します。

⑤本業以外にも、不動産収入などがある場合に記入しましょう。

⑥すでに行っている事業の前年度からの在庫額を記入します。
 新設法人や、初めて開業する場合は「0」となります。

⑦年間の酒類販売見込数量から、仕入額を算出し記入します。

⑧酒類以外に販売する商品等がある場合に、その仕入額を記入します。

⑨酒類以外に販売する商品がある場合には、酒類と併せた合算の在庫額を記入します。

⑩本業の前年度に要した経費等を参考に算出し、記入しましょう。

⑪年間の酒類の販売見込額を算出した際の、取り扱う酒類の販売容量を記入します。

例えば、750mℓの果実酒を年間3,000本販売できる見込みであれば、2.25kℓとなります。 ⑫販売場の営業時間、定休日を記入しましょう。

次葉5 所要資金の額及び調達方法 (CC1-5104-1(5)) を作成しよう

次葉5は、酒類販売事業を始めるにあたり、所要資金や調達方法について記入します。

①次葉4で算出した「(2)酒類の仕入金額」を記入します。

②酒類販売事業を開始するにあたり、準備に要した設備等がある場合や準備する予定の設備がある場合に記入しましょう。
既存設備を使用し、新たな準備が不要な場合は記入不要です。
例えば、「既存設備を使用するため、新たな設備投資は予定しておりません。」などと記入しましょう。

③申請日にできるだけ近い日付の預金口座残高などを記入し、金額の証明として、通帳のコピーなどを添付しましょう。
所要資金の額については、酒類の仕入、販売量、経費などを総合的に勘案して、妥当と思われる金額 が用意されていることが必要となります。

④十分と思われる所要資金を準備できていれば、自己資金のみで事業を行なえる旨を記入します。 所要資金に不足がある場合には、資金調達について具体的な手段を記入しましょう。

次葉6 酒類の販売管理の方法 (CC1-5104-1(1)) を作成しよう

次葉6は、酒類の販売管理の方法に関する取組計画書となります。
適正な販売管理体制を築くため、酒類の販売管理の方法について記入します。

①酒類販売では、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選任しなければならなく、
 酒類販売管理者は、過去3年以内に酒類販売管理研修を受講した者でなければなりません。

②酒類販売場の所在地と販売場名称を記入します。
 所在地ですので、酒類販売免許申請書に記入した(地番)を記入しましょう。
 販売場名称も、酒類販売免許申請書に記入した(名称)を記入します。

③選任した酒類販売管理者が受講した、酒類販売管理研修の受講日、研修実施団体名を記入します。
 ※受講予定の場合は、予定している受講日程を記入しましょう。

④次葉3で記入した、店舗の面積を記入します。
 酒類売場の面積については、店舗内の酒類売場とする範囲の面積を記入します。

⑤販売場の営業時間、定休日を記入します。
 通信販売酒類小売業免許を取得の場合は、インターネットによる受注は24時間となりますので、
 「24時間」をまる(○)で囲みます。

⑥酒類販売場ごとに、酒類販売管理者に代わる責任者の選任も必要となります。
 選任する酒類販売管理者に代わる責任者の人数を記入します。

⑦選任する酒類販売管理者に代わる責任者の氏名、年齢を記入します。
 「氏名の基準」については、下段の項目⑴〜⑺から該当する項目番号を記入しましょう。

⑧酒類販売業免許申請書の「申請する販売業免許の種類」を基に該当する項目を選択しましょう。

⑨酒類販売業免許申請書に記入したものと同一の業態区分を選択しましょう。 ⑩各項目について、区分(はい・いいえ)を選択しましょう。

免許申請書チェック表を作成しよう

免許申請書チェック表は、酒類販売業免許申請書を管轄の税務署に提出する際に、必要書類の確認にも使用できる書類です。

申請する免許の種類によって、作成するチェック表も異なります。 「一般酒類小売業免許申請書チェック表」、「通信販売酒類小売業免許申請書チェック表」、「酒類販売業免許申請書(b)チェック表」など、申請する免許の種類に合ったチェック表を作成しましょう。

酒類販売業免許の免許要件誓約書を作成しましょう

免許要件誓約書は、申請者が欠格要件に該当しないことについて誓約する書類となります。

①申請する酒類販売場の所在地を管轄する税務署を記載します。

②酒類販売場の所在地と販売場名称を記入します。
 所在地ですので、酒類販売免許申請書に記入した(地番)を記入しましょう。
 販売場名称も、酒類販売免許申請書に記入した(名称)を記入します。

③個人名義で酒類販売業免許を申請する場合に記入する欄です。
 住民票に記載の住所と、氏名、誓約日を記入します。

④法人名義で酒類販売業免許を申請する場合に記入します。
 履歴事項全部証明書(法人登記簿)に記載の本店所在地、法人名を記入しましょう。
 日付欄は、誓約日を記入します。

⑤法人名義で酒類販売業免許を申請する場合に記入します。
 履歴事項全部証明書(法人登記簿)に記載されている役員全員を記入します。

⑥代表取締役が各役員を代表して誓約します。 日付欄は、誓約日を記入します。

⑦(別紙1)、(別紙2)の各誓約項目について、内容を確認し誓約します。

※本記事では、一般酒類小売業免許と卸売業免許を取得しようとする際に作成する免許要件誓約書を記載例としています。 通信販売酒類小売業免許を取得しようとする場合は、通信販売酒類小売業免許用の免許要件誓約書があります。

一般酒類小売業免許:酒類販売業免許の免許要件誓約書 CC1-5104-8
通信販売酒類小売業免許:酒類販売業免許の免許要件誓約書 CC1-5104-9
(通信販売酒類小売業免許申請用)
酒類卸売業免許:酒類販売業免許の免許要件誓約書 CC1-5104-8

お疲れ様でした。
以上で、書類の作成が完了となります。

提出書類を仕上げましょう!

作成した各様式と、取得した証明書類等を整え、税務署に提出する準備をします。

酒類販売業免許申請は、提出書類がかなりのボリュームとなります。 免許申請チェック表に従って、各様式や添付書類に記載漏れや取得漏れがないかを確認しましょう。

  様式 補足書類
1 酒類販売業免許申請書(CC1-5104)  
2 次葉1  
3 次葉2  
4 次葉3  
5 次葉4 取引確認書、
課税移出数量証明書
6 次葉5 通帳、残高証明書など所要資金を証明する書類
7 次葉6 酒類販売管理研修受講証、
酒類販売管理者標識
8 免許申請書チェック表  
9 複数申請等一覧表 ※複数の販売場にて同時申請する場合  
10 免許要件誓約書  
11 履歴事項全部証明書(法人で申請の場合)  
12 履歴書(法人で申請の場合は、役員全員)  
13 賃貸借契約書(賃貸物件等の場合) 賃貸借契約書(現契約書)
転貸借契約書
14 全部事項証明書(建物)  
15 全部事項証明書(土地)  
16 決算報告書(最終事業年度以前3事業年度分)  
17 地方税の納税証明書  
18 通信販売資料(通信販売酒類小売業免許を申請する場合)  

提出書類は、申請者の控えとして、2部(税務署提出用(原本)、申請者控え(副本:コピー))作成することをおすすめします。

提出の際に、酒類販売業免許申請書(CC1-5104)を2枚用意しておくことで、提出時に「収受印」を押した控えを戻してもらうことができます。
収受印の捺印された控えを保管することで、申請書の受理日等を確認することもできます。
審査期間中には、審査担当者(酒類指導官)から申請内容についての質問等の連絡がくることもあります。控えを準備しておくことで、申請内容の把握ができ、スムーズに質問に対応することもできるでしょう。

以上が、酒類販売業免許申請書の作成です。
どうしても自分で作成することが困難な人や、申請書を作成する時間が取れない人は、専門の行政書士に依頼してみてはいかがでしょうか。