酒販免許は自分で申請or行政書士に依頼どちらがいい?

酒販免許は自分で申請or行政書士に依頼どちらがいい? 注目のトピックス

お酒の免許取得を考えている人は、自分で申請できるものなのか、行政書士などの専門家に依頼した方がよいのか悩むところですよね。

酒類販売業免許は自分でも申請できますので、時間や手間をかけられる人は自分で申請するのもよいでしょう。あるいは時間をかけたくない人や知識がなく不安な人は、行政書士に依頼すれば時間も省けますし安心して任せることができます。

行政書士選びの際にチェックしておきたいポイントも解説していますので、行政書士に依頼する場合は参考にしてみてください。

目次

費用はどれくらい違う?

自分で申請する場合

自分で申請する場合にかかる費用は、総額で小売業免許の場合は4万円程度、卸売業免許の場合は10万円程度となっています。

内訳は次のようになります。

①登録免許税免許を受ける際に税務署に支払う税金
小売業免許:3万円
卸売業免許:9万円(小売業・卸売業両方の免許でも9万円)
②酒類販売管理研修の受講費2,000円~6,000円程度
※研修実施団体によって異なります。
③添付資料の取得費用2,000円~5,000円程度
※お酒の免許申請の添付書類として必要な書類(土地・建物の全部事項証明書や納税証明書など)の取得費用です。

行政書士に免許取得代行を依頼する場合

酒類販売業免許の取得を行政書士に依頼する場合には、総額で小売業免許なら15万円~25万円程度、卸売業免許なら25万円~40万円程度が相場となっています。

①登録免許税免許を受ける際に税務署に支払う税金
小売業免許:3万円
卸売業免許:9万円(小売業・卸売業両方の免許でも9万円)
②酒類販売管理研修の受講費2,000円~6,000円程度
※研修実施団体によって異なります。
③行政書士の代行手数料小売業免許は10万円~20万円程度卸売業免許は15万円~30万円程度が相場
※免許の種類や申請の難易度などによって報酬が変わってきます。

行政書士に依頼した場合も、添付書類の取得費用がかかることがあります。

申請の流れ

自分で申請するとき

自分で申請するときは、次の流れで準備をしていくことになります。

STEP1:取得したい免許の種類を決める

STEP2:要件確認と税務署への事前相談

STEP3:添付書類の準備

STEP4:手引きを読みながら申請書を作成

STEP5:税務署への提出

STEP6:税務署の審査(2か月程度)
    ↓
   免許取得

お酒の免許申請の流れについて、詳しくはこちら
→【5分でわかる「お酒免許」の基礎知識

行政書士に依頼するとき

行政書士に依頼する場合は、次のような流れになります。

STEP1:依頼する行政書士を選ぶ

STEP2:問い合わせ・初回相談

STEP3:契約後、行政書士の指示に従って書類を収集

     ↓(行政書士から税務署へ申請書提出)

     ↓(税務署の審査:2か月程度)

   免許取得

行政書士に依頼したら、必要書類(会社の定款や賃貸借契約書など)を収集するよう指示があります。必要書類を準備して行政書士に提出したら、後は免許が下りるのを待つだけです。

審査中に税務署の酒類指導官から質問や追加書類の依頼で連絡が来ることもありますが、行政書士の中にはこうした税務署とのやり取りも代行してくれるところもあります。

自分で申請する際のハードル

自分で申請する際にハードルとなるのが、「自身(社)事業ではどの免許が必要か」「免許が取得できるかどうか」の2つを判断することと、慣れない公的書類の取得でしょう。

「自身(社)の事業ではどの免許が必要か」の判断は難しい

酒類販売業免許は全部で11種類あり、この中から事業に合った免許を取得する必要があります。

例えば、ECサイトを利用して海外の個人消費者に販売したい場合、通信販売酒類小売業免許を最初にイメージするかと思います。しかし、海外の消費者にのみ販売する場合は、輸出酒類卸売業免許が必要になります。

また、ウーバーイーツなどお酒の宅配をする場合、インターネットで注文を受けるため通信販売酒類小売業免許と考える人が多いかもしれませんが、同一都道府県内の消費者への販売の場合は、一般酒類小売業免許が必要となります。

このように酒類販売業免許は、イメージした免許と実際に必要な免許とで、異なる区分の免許が必要になることもあります。そのため、「自身の事業スキームではどの免許が必要か」の判断が難しいポイントです。

「免許を取得できるかどうか」の判断

次にハードルとなるのが、「自身(社)が免許を取得できるかどうか(免許要件)」の判断でしょう。

頑張って自力で手引きを読み込んで申請書を作成したとしても、そもそも要件を満たしていないと免許が下りず、作成にかけた時間と手間が水の泡になってしまいます。そのため、自身(社)が要件を満たしているかどうか、申請前に確認しておくことが必須となります。

酒類販売業免許で審査される要件には、酒類販売業免許申請の手引に記載されていないこともあります。例えば場所的要件について、申請場所が居住用マンションの場合、貸主からの使用承諾書が必要なことがあります。

酒類販売業免許の申請に慣れていない人にとっては、「要件を満たしているかどうか」=「免許を取得できるかどうか」の事前の判断が難しいところでしょう。

慣れない公的書類の取得

酒類販売業免許の申請には、添付書類として土地・建物の全部事項証明書(登記簿)や、地方税の納税証明書を提出します。

課税証明書ならまだしも、登記事項証明書や納税証明書の取得はなかなか馴染みがないでしょう。こうした書類の取得に慣れていない人にとっては、どこに申請すればよいのか、申請書はどうやって書けばよいのかなど分からないことが多く、手間取る人が多いでしょう。

「自分で申請しようと思ったけど結局行政書士に頼んだ」という人が少なからずいるのは、こうした理由からだと思います。

結局どちらがいい?

自分で申請する場合のメリット・デメリット

メリット・酒類販売事業経験者などは、自身(社)でも十分申請できるため、
 申請費用を抑えることができる
デメリット ・提出する証明書類の取得に苦労する
・審査中の税務署対応に苦労する

行政書士に依頼する場合のメリット・デメリット

メリット ・申請書類の作成や証明書類の取得、提出を丸投げできるため、
 販売場の準備に専念できる
デメリット ・費用がかかる

以上から、酒類販売事業の経験があり、証明書類の取得や税務署とのやり取りにある程度時間を割ける場合は自分で申請し、お店のオープン日が決定していて期日までに急いで免許を取得したい場合や開店準備に専念したい場合などは、専門の行政書士に依頼することをおすすめします。

行政書士選びのポイント

行政書士に依頼する場合は、どの行政書士に頼むかも悩みどころだと思います。

まず大前提として、専門の行政書士の中から選びましょう。

行政書士が扱える書類は多岐にわたるため、専門外の分野だと未経験の場合があります。インターネットで検索する際は、「酒販免許 行政書士」などで検索する、あるいは業務案内に「酒類販売業免許代行」などと記載されている行政書士を選ぶようにしましょう。

また、必要書類(資料)については、郵送やメールでのやり取りで対応できますし、打ち合わせも電話やビデオ会議で行えますので、近隣の行政書士を選ぶよりも専門性を優先しましょう。

さらに、押さえておきたい3つのポイントがあります。

①業歴が長い
②丁寧なやり取り=聞き取りをしっかりしてくれる・質問に的確に答えてくれる
③取得後のサポートが手厚い

①業歴が長い

経験を積んだ行政書士なら、審査が通りやすい申請書の書き方や税務署とのやり取りなどについてのノウハウを持っています。そうした行政書士に任せれば、税務署の審査もスムーズに進み、最短で免許を取得することができます。

目安として10年程度業歴があると安心して任せられるでしょう。

ホームページなどでよく「取得率100%」「取得実績〇〇件」と見かけますが、その他にも行政書士の業歴をチェックしてみましょう。

また、「お客様の声」や「お客様アンケート」などが掲載されていれば、そちらも確認するとよいでしょう。自身(社)に似た業種・業態の顧客からの評価があれば、特に参考になるでしょう。

②丁寧なやり取り=聞き取りをしっかりしてくれる・質問に的確に答えてくれる

行政書士に丸投げできるとはいえ、本当に免許が下りるかどうか心配になるのは当然です。

安心して任せられる行政書士というのは、依頼人の話をしっかり聞いてくれる、質問に的確に答え不安を解消してくれるなど、丁寧なやり取りをしてくれるものです。

また、経験豊富な行政書士であれば、お酒の免許は事前の要件確認がとても重要だということをきちんと理解しているはずなので、事業について詳しく聞き取りをするはずです。

依頼したい行政書士をある程度絞ったら、電話やメールで問い合わせをしてみて、どのような対応をしてくれるか見てみるのもよいでしょう。

③取得後のサポートが手厚い

晴れて免許を取得した後も、酒類販売業者にはさまざまな法的義務が課されています。義務を守っていないと、場合によっては罰金を科されたり、最悪の場合免許を取り消されてしまうこともあります。

日々の業務もある中で、法令や通知を読んで適切に対応するというのは、なかなか難しいものだと思います。そんなときに相談できる専門家がいると安心できますよね。

行政書士によっては「免許取得後〇年間の法務サポート無料」と謳っているところもありますので、初めて酒類販売業を行う人などは、サポートの手厚い行政書士を選ぶとよいでしょう。

まとめ

・自分で申請する場合のメリット・デメリット
 メリット:費用を抑えられる
 デメリット:要件の確認や証明書類の取得、税務署対応などで時間と手間がかかる

・行政書士に依頼する場合のメリット・デメリット
 メリット:申請準備を丸投げでき、お店の準備に専念できる
 デメリット:費用がかかる

・行政書士に依頼する場合は、①業歴が長い、②対応が丁寧、③サポートが手厚い専門の行政書士を選ぶとよい