老舗酒蔵のM&Aに伴う酒類製造免許の承継を、譲渡期限内に実現した事例

概要
長年にわたり酒類の製造を手がけてきた老舗酒蔵D社様が、第二会社方式による事業再生スキームを実行するにあたり、酒類製造免許の承継・新規取得という高度に専門的な手続きを、スポンサーへの譲渡期限という厳しい条件の中でやり遂げた成功事例です。
1. 企業・依頼背景
D社様は創業から長い歴史を持つ酒蔵で、清酒・単式蒸留焼酎・みりんをはじめとする複数品目の酒類製造免許を保有し、地域に根差した酒類の製造・販売を行ってきました。財務面での課題を背景に、事業の継続と再出発を図るため、「第二会社方式」による事業再生が選択されました。
第二会社方式とは、既存法人から事業用の資産・設備を新設法人へ会社分割により切り出し、スポンサーの支援のもとで新会社が事業を継続する一方、旧法人が負債整理を行うという再生スキームです。このスキームにおいて、酒類製造免許の承継完了がスポンサーへの株式譲渡の条件となっていたため、免許手続きの確実な遂行が事業再生全体の成否を左右する重要な要素となっていました。支援に入っていたM&Aコンサルタントを通じて当事務所へご相談をいただき、プロジェクトが始動しました。
2. 抱えていた課題・問題点
本件における最大の難点は、「品目によって申請の方法が異なる」という複雑さと、「スポンサーへの譲渡日という動かせない締め切り」が重なっていたことです。
酒類製造免許には、一定の要件を満たす会社分割の場合に既存免許の承継として扱われる「法人成り等」という特例があります。清酒・単式蒸留焼酎・みりんについてはこの「法人成り等」として対応し、雑酒・リキュールについては新規申請として対応する必要があり、同一の案件の中で性格の異なる2軸の申請を同時並行で進めなければなりませんでした。
さらに、スポンサー企業側の都合により株式譲渡日はあらかじめ決まっており、免許承継の完了がその条件となっていました。会社分割の実行日・免許交付・株式譲渡をすべて同日に揃えなければならないという制約の中で、免許審査のスケジュールを見据えた緻密な進行管理が求められました。
3. 当事務所(行政書士)の取り組み
当事務所は中小企業庁認定の経営革新等支援機関(認定支援機関)として、経営改善計画の策定や民事再生・事業承継に関する知見を有しています。そのため、第二会社方式という再生スキームの全体像をいち早く把握し、免許手続きの観点から何が論点になるかを素早く整理することができました。
まず取り組んだのは、今回の会社分割スキームが法人成り等のどの類型に該当するかを明確にすることでした。スキームの全体像を図にまとめ、税務署へ丁寧に説明・相談を行いながら、法令上の根拠と申請方針を確定しました。その上で、法人成り等で対応する品目と新規申請で対応する品目を整理し、2軸の申請を同時並行で進める体制を整えました。
スケジュール管理においては、譲渡日から逆算して申請から免許交付までの工程を細かく組み立て、クライアントと情報を共有しながら必要なタスクを着実に進めました。国税局による現地確認の際にも、事前に想定される論点を整理してクライアントへレクチャーし、当日の対応が円滑に進むようサポートしました。
4. 成功結果と得られたメリット
複数品目にわたる複雑な申請スキームと、スポンサーへの譲渡日という厳しい期限の中で、予定通りに酒類製造免許の承継・新規取得を完了することができました。免許承継の完了という譲渡条件を満たしたことで、会社分割・免許交付・株式譲渡をすべて予定通りの同日に完了させることができ、D社様の事業再生は計画通りに実現しました。
長年にわたり守り続けてきた酒類製造の事業と免許を新会社へ引き継ぎ、スポンサーの支援のもとで新たなスタートを切ることができたことは、D社様にとって大きな意味を持つ結果となりました。酒類免許の専門知識に加え、認定支援機関としての事業再生・M&Aの知見も活かすことができた案件となりました。
5. お客様の声
「今回の免許手続きは、前例がほとんどない複雑なものだったと聞いており、アクセス行政書士法人さんにお願いして本当に良かったと感じています。事業承継の手続きが山積みの中、期日に間に合うかどうか不安な時期もありましたが、免許のことはすべてお任せできたことで、他の手続きに集中することができました。承継が予定通りに完了したときは心から安堵しました。大浦先生をはじめ、親身になって最後まで動いていただいたことに、深く感謝しています。」