アメリカへのお酒の輸出は新規商品しかできないの?COLA(米国ラベル登録)のしくみを分かり易く解説

アメリカへ日本酒や焼酎を輸出しようとすると、まず気になるのが「すでにアメリカで販売されている銘柄でも、日本から輸出できるのか?」という点です。
この疑問が出やすい背景には、アメリカ独自のラベル承認制度であるCOLA(Certificate of Label Approval) の存在があります。COLAは原則として 輸入業者(Importer)ごとに申請・取得が必要なため、すでに承認済みの商品を見ると「販売ルートが固定されていて、新しい輸出はできないのでは?」と感じてしまいがちです。
この記事では、COLAの仕組みと注意点を軸に、日本側の対応範囲、審査期間の目安、米国側の免許、公的支援の活用まで、アメリカ向け輸出で不安になりやすいポイントを整理して解説します。
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目次
結論
先に結論から申し上げますと、すでにアメリカで販売されている商品でも輸出できます。
アメリカで過去にCOLAが取得されている商品だからといって、日本からの輸出ができなくなるわけではありません。別の輸入業者がその銘柄を扱いたい場合は、その輸入業者が新たにCOLAを申請・取得すれば、同じ商品でも輸入・販売が可能になります。
そもそも「COLA」とは?
アメリカでお酒を販売する場合、商品のラベル内容は事前に政府機関の承認を受ける必要があります。この審査を行うのが TTB(Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau) です。
TTBは、酒類の輸入・流通を許可し、ラベル表示が正確で安全性に問題がないかを確認する役割を担っています。つまり、アメリカ国内で流通する酒類を管理する政府機関です。
このTTBによるラベル承認手続きは COLA(Certificate of Label Approval/ラベル承認)と呼ばれます。COLAは、法律で定められた表示事項が適切に記載されているかを確認する制度です。
TTBのラベル審査では、たとえば次のような項目が確認されます。
a.銘柄(日本語表記も可)
b.分類名称(日本酒は “Sake”、焼酎は “Shochu” または “Soju” など)
c.アルコール度数(%表示)
d.内容量(mL表示)
e.輸入者の名称・住所(例:Imported by …)
f.着色料を使用している場合、その旨の表示
g.健康警告文(TTBが定める定型文)
f.原産国(例:Product of Japan)
このようにCOLAは、表示ルールに適合したラベルで販売するために必要となる事前承認手続きです。
なお、似た制度を持つ国はありますが、「輸入業者ごとにラベル承認を受ける」という点はアメリカ特有の仕組みです。
なぜそんな仕組みなの?
日本の感覚では、ラベルは「商品ごとに登録する」と考えがちですが、アメリカの酒類規制は異なります。COLAは商品にひもづくものではなく、輸入業者(Importer)にひもづく承認です。
例えば同じ銘柄であっても、A社が輸入するお酒とB社が輸入するお酒は、米国では別の流通ルートの商品として扱われます。そのため、輸入業者ごとに自らの責任でラベル承認を取得する仕組みになっています。
つまりアメリカでは、「どの商品か」以上に、「誰が輸入し、誰の責任で販売するのか」が重視されるのです。

日本側がやるべきこと
アメリカ側での許可取得やラベル承認(COLA)の申請は、原則としてアメリカの輸入業者が行います。日本側の役割は、それらの手続きに必要となる正確な商品情報を提供し、輸出準備を整えることです。
具体的には、次のような対応が中心になります。
・商品情報(原材料、アルコール度数、容量など)を正確に伝える
・輸入業者が承認を取得したラベルデータを、製品に貼付したうえで出荷する
・輸出用のインボイスや契約書など、関連書類を整備する
⚠️申請・ラベル作成の基礎となる商品情報は日本側が提供するため、誤りがないよう事前に十分すり合わせておくことが重要です。
COLAの審査期間はどれくらい?
輸出スケジュールで注意すべき点の一つが、COLAの審査期間です。
TTBの公表データによれば、COLAの審査は申請区分(Wine/Distilled Spirit/Malt Beverage)によって差はあるものの、通常は数日〜2週間程度(中央値)で進むことが多く、修正対応が生じた場合はその分長期化します。そのため、出荷予定日から逆算し、修正対応の可能性も見込んだうえで早めに申請を進めることが大切です。
最新の処理情報はこちらで確認できます(TTB公式)
https://www.ttb.gov/regulated-commodities/labeling/processing-times
アメリカ側にもお酒の販売免許がある
COLA申請は誰でも行えるわけではなく、TTBの連邦基本許可(Basic Permit)をはじめ、必要な免許を保有する事業者が申請主体となります。
アメリカで酒類を取り扱ううえで、主に関係する免許は次のとおりです。
・連邦レベル(TTB)の酒類取扱いに関するライセンス
・州ごとの酒類販売ライセンス(州独自の規制あり)
そのため、ラベル手続きに進む前提として、日本側(輸出者・メーカー側)は、取引先の輸入業者がこれらの免許を正式に取得しているかを事前に確認しておくことが重要です。
公的支援サービスを上手に活用しよう
国内にも輸出支援を行う公的機関があり、提供されている支援サービスをうまく活用するのがおすすめです。たとえば、日本貿易振興機構(JETRO)や日本産酒類輸出促進コンソーシアム(SAKE-CONSO)では、輸出に関する相談や情報提供を無料で受けることができます。
こうした公的機関を活用し、早い段階から連携体制を整えておくことで、スムーズで確実な輸出業務の実現につながります。
✅ おすすめ支援サービス
・JETRO(米国向け情報)
https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/
米国向け輸出に関する制度・市場情報を確認でき、輸出実務の初期相談にも対応しています。
・日本産酒類輸出促進コンソーシアム(SAKE-CONSO)
https://sake-consortium.nta.go.jp/
日本酒・焼酎など酒類輸出に特化した情報提供や相談支援が受けられます。
・国税庁が発行する「日本酒輸出ハンドブック(米国編)」
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/yushutsu/handbook/pdf/05.pdf
米国向け酒類輸出に関する法規制や実務ポイントが体系的にまとめられています。
・中小機構:海外展開の専門家相談
https://www.smrj.go.jp/sme/overseas/consulting/advice/index.html
輸出を事業として進めるうえで必要となる事業計画や社内体制づくりについて専門家に相談でき、準備段階でのつまずき防止に役立ちます。
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まとめ
・アメリカでは 輸入業者ごとにCOLAを取得すれば、すでに販売されている商品でも輸出できる
・日本側は情報提供とラベル貼付が中心。COLA申請は輸入者がアメリカで行い、TTBの審査を経て承認される
・COLA審査期間は数日〜2週間程度かかるので 余裕を持ったスケジュールが大切
・JETROやSAKE-CONSO等の公的支援も活用し、情報収集や準備を段階的に進めるとよい
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