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酒類販売業免許取得後に別の免許を追加できる?条件緩和申請とは

酒類販売業を営む中で、「新しい品目のお酒を取り扱いたい」「小売だけではなく卸売もしたい」「海外に展開したい」といった希望が生まれることもあるのではないでしょうか。

既に酒類販売業免許を取得している販売場において、現在の免許では販売できない品目や販売方法を新たに取り入れたい場合には、「条件緩和申請」という手続きが必要になります。

今回は「条件緩和申請」について、分かりやすく解説します。

条件緩和申請はどんな時に必要?

酒類販売業免許には、取り扱える品目や販売方法に関する“条件”が付されています。酒類の販売は、取得している免許の条件に従って行う必要があります。新たに販売したい品目や販売方法が、免許の条件に当てはまらない場合には、それに対応した免許の追加取得や、取扱品目の追加が必要になります。

つまり「条件緩和申請」とは、既存の販売場に付された“販売条件”を“緩和”し、新たな取り扱い品目や販売方法を取り入れたい場合に必要になる手続きです。

免許を追加する例

  • 店舗での店頭販売 → 新たに通信販売を始めたい場合
  • OEMのお酒を消費者に小売りしている → 新たに酒販業者に卸売りしたい場合

品目を追加する例

  • 通信販売酒類小売業免許で輸入酒のみを扱っている → 新たに国産酒も扱いたい場合
  • 洋酒卸売業免許が果実酒に限定されている → 新たにウイスキーも扱いたい場合

なお、新たな販売場で酒類の販売を始めたい場合は、「条件緩和」ではなく、「新規申請」が必要です。

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条件緩和申請をしないとどうなる?

条件に合わない販売を行うと免許条件違反となり、懲役1年以下、50万円以下の罰金罰則の対象になります。

根拠法令等:酒税法第58条

現在の販売条件の確認方法

現在、免許に付されている販売条件は、酒類販売業免許通知書に記載されています。お手元の酒類販売業免許通知書を確認しましょう。

酒類販売業免許通知書の条件は「一般酒類小売業免許」「通信販売酒類小売業免許」のように、分かり易い書き方がされていません。とても分かりづらい書き方をされているため、慣れていないと正確に内容を読み取ることが難しい場合があります。酒類販売業免許通知書を読んでみても内容が良く分からない場合は、管轄の税務署や専門の行政書士に相談すると良いでしょう。

販売方法に関する条件 記載例

  • 「通信販売を除く小売に限る」 → 一般酒類小売業免許
  • 「自己が輸入する酒類の卸売に限る」 → 輸入酒類卸売業免許
  • 「自己が輸出する酒類の卸売に限る」 → 輸出酒類卸売業免許

販売できる品目に関する条件 記載例

  • 通信販売酒類小売業免許 → 「輸入酒に限る」「国産酒類のうち、○○に限る」
  • 洋酒卸売業免許 → 「果実酒、ウィスキー、ブランデー、○○の卸売に限る」

販売条件を確認し、現在の免許で何ができるのかを把握したうえで、条件緩和申請が必要かどうかを検討しましょう。

通知書を紛失してしまった場合は?

「酒類販売業免許通知書」は紛失すると再発行できません。

ただし、税務署に「証明書交付申請書」を提出することで、酒類販売業者であることを証明する書類を発行してもらうことができます。

(参考:国税庁 お酒についてのQ&A 酒類製造・販売業免許関係(共通)Q14

条件緩和申請の流れ

条件緩和申請は、販売場を管轄する税務署に行います。新規申請と同様、審査に原則2か月程度かかりますが、実際は新規の申請より早く審査が終わることが多いです。

無事に免許交付が決定すると、「条件緩和通知書」という書類が交付されます。条件緩和通知書を受け取るまでは新たな販売方法は行えないため余裕を持った準備が必要です。

提出先

販売場を管轄する税務署

審査期間

原則2か月

費用

追加する免許の種類によって、登録免許税を納める必要があります。

登録免許税
品目追加0円
小売免許小売免許を追加0円
小売免許卸売免許を追加6万円
卸売免許卸売免許を追加0円

必要書類

酒類販売業免許等申請書類一覧表|国税庁】

免許条件の緩和・解除申出
(酒類の範囲)
免許条件の緩和・解除申出
(”酒類の範囲”以外)
申請書様式CC1-5115CC1-5115









2建物等の配置図
(建物の構造を示す図面)
3事業の概要
(販売設備状況書)
4収支の見込み
(兼事業の概要付表)
5所要資金の額及び調達方法
6「酒類の販売管理の方法」に関する
取組計画書



酒類販売業免許の免許要件誓約書
(酒税法10条の規定に該当しない旨)
その他税務署長が必要と認めた書類

申請に必要な書類は、追加する免許の種類や事業内容によって異なります。上記の他にも、次のような書類が追加で必要になる場合があります。

  • 課税移出数量証明書
    通信販売酒類小売業免許にて、国産酒の品目を追加する際に必要です。
  • 取引承諾書
    卸売業免許を追加する際に必要です。

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条件緩和申請は、事業の可能性を広げる重要な手続きです。条件緩和申請の要否について判断に迷う場合は、税務署の酒類指導官や専門の行政書士に相談すると良いでしょう。

まとめ

  • 「条件緩和申請」とは、既存の販売場について “販売条件”を“緩和”する手続き
  • 条件に合わない販売を行うと、罰則の対象になる
  • 審査期間は約2ヶ月かかるので、余裕を持った準備が必要

執筆者情報

大浦智幸 Tomoyuki Oura

アクセス行政書士法人 代表行政書士。2012年の開業以来、酒類販売・酒類製造に特化した支援を行い、延べ約1,800件の免許申請に係る。免許の取得率は100%。 前例の少ない複雑案件(通称“ゾンビ免許”承継)を手がけた経験から、「ゾンビ行政書士」の異名も持つ。