飲食店で余っているお酒の在庫、酒類販売免許を取れば販売できる?

飲食店を営業していてお酒の在庫が余っていたり、希少価値の高いお酒を仕入れることが出来た際に「せっかくならこの在庫を販売して現金化したい」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、飲食店として仕入れたお酒は、酒類販売免許を取っても原則として販売できません。その理由と、飲食店の在庫を販売する際の対応方法についてわかりやすく解説します。
目次
飲食店の在庫は「販売用」ではなく「消費用」として扱われる
酒税法第10条第11号には、需給調整要件が定められています。これにより、飲食店が酒類販売も行う場合には、仕入伝票・在庫管理・売上帳簿を「飲食用」と「販売用」に完全に分ける必要があります。
つまり、販売できるお酒はもともと販売用として仕入れたものでなければなりません。しかし、飲食店で保有している在庫は、多くの場合「小売業者」から仕入れたものであり、消費用扱いとなっています。
| 営業形態 | 正しい仕入先 |
| 飲食店 | 小売店(消費用として販売された酒) |
| 酒販免許業者 | メーカーまたは卸売業者 |
では、販売するにはどうすればいい?
① 酒類販売免許の取得
飲食店として仕入れたお酒を販売するには、酒類販売業免許を取得した上で、改めて販売用として仕入れ直す必要があります。
・飲食店内で店頭販売を行う場合に必要な免許 : 一般酒類小売業免許
・ECサイトで販売する場合に必要な免許 :通信販売酒類小売業免許
② 返品処理を行い販売用として仕入れなおす
仕入れ先がメーカーや卸売免許を持っている場合は、返品処理を行い、再度「卸売」として販売用に仕入れ直すことができます。
しかし、仕入れ先が小売免許しか持っていない場合は、この方法は使えません。その場合は、引き続き飲食提供用などで消費して在庫を減らしていくことになります。
飲食店の在庫販売はハードルが高い?
このように、過去に仕入れた飲食店の在庫を「販売用」に転換するには、仕入先が卸売出来る免許を持っている相手であり、かつ、返品処理に応じてくれるかが重要なポイントになります。
誤った形で販売を行うと罰則や免許の取消などのリスクもありますので、飲食店用として仕入れたお酒の在庫処分を検討する際は、必ず管轄の税務署や酒類免許に詳しい行政書士に相談することをおすすめします。
まとめ
- 飲食店で余っているお酒は酒類販売免許を取得しても原則として販売できない。
- 販売するには販売用として仕入れ直す必要がある。
- 返品・再仕入れの可否は仕入れ先の免許区分による。
- 事前に税務署や専門家へ相談するのが安心。

