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有機表示に「有機JASマーク」が必須に 酒類業者への影響とは?

世界的に「オーガニック(有機)」の価値が高まり、日本でも食品分野を中心に“有機認証”の波が広がっています。その流れが、いよいよ酒類業界にも本格的に及ぶことになりました。

2025年10月1日から、「有機」「オーガニック」「Organic」などの表示を行う酒類には、有機JAS認証の取得と有機JASマークの貼付が必須となりました。これまで対象外だった酒類もJAS制度に統一され、ワイン、日本酒、焼酎、クラフトビールなども「第三者認証」が必要になります。

この記事では2025年10月からスタートした「有機酒類のJAS制度」について、どんなルールが変わるのか、酒類業者にどんな影響があるのか、そして違反した場合の罰則や注意点までを分かりやすく解説します。

有機JASマークとは?

「有機JASマーク」は、国が定める有機食品の国家規格に基づき、登録認証機関の審査を受けた事業者だけが使用できるマークです。このマークがない製品に「有機」「オーガニック」などの表示を行うことは、法律(JAS法)で禁止されています。

酒類業者にとって何が変わるのか?

これまでは、国税庁の「酒類における有機の表示基準」に基づき、事業者の自己申告で「有機表示」を行うことができました。しかし、2025年10月以降は、JAS認証を受けた酒類のみが「有機」「オーガニック」を名乗れるようになります。つまり、認証を受けずに「Organicワイン」などと表記することはできません。

業者別の対応ポイント

業種主な対応事項
国内製造業者(酒蔵・ワイナリーなど)有機JAS認証を取得。製造・原料・管理体制をJAS基準に合わせる。
輸入業者同等国(アメリカ・EU・カナダなど)かどうかで対応が異なる。
同等国なら
①製造者が有機JAS認証を取得し、製造段階で有機JASマークを 貼付。
②輸入者がJAS認証を取得してマークを貼付可。
非同等国なら
製造者が日本のJAS認証を取得していなければ「有機表示不可」。
販売業者(卸・小売・EC)「有機」「オーガニック」と表示する際は、仕入先がJAS認証済みであることを確認。認証がなければ表示禁止。

有機酒類の輸出入ルール(要点整理)

■ 日本から輸出する場合

  • 同等国(例:アメリカ・EUなど) → 日本でJAS認証済みなら「Organic」表示OK。相手国での追加認証は不要。
  • 非同等国(例:中国など) → 現地の有機認証を別途取得する必要あり。

 

■ 海外から輸入する場合

  • 同等国から輸入
  1. 製造者が有機JAS認証を取得し、製造段階で有機JASマークを貼付。
  2. 輸入業者が日本のJAS認証を受け、輸入段階で有機JASマークを貼付。
  • 非同等国から輸入 → 製造者が日本のJAS認証を取得していない限り、「有機」表示不可。

ここに注意!

海外産で海外の有機認証を受けている酒類はそのまま海外の有機認証ロゴを印字して、国内で販売することは可能ですが、有機JAS認証を取得していない場合は「有機」・「オーガニック」・ 「Organic」などの 有機生産品であることを表記することはできませんので注意が必要です。 同等国であっても、商品名やラベルに「有機」・「オーガニック」・ 「Organic」と表記するには、有機JAS認証を取得している必要があります。

罰則と表示上の注意点

有機JAS制度の違反に対しては、刑事罰や行政処分が定められています。

内容概要根拠
虚偽表示の禁止認証を受けていないのに「有機」「オーガニック」と表示した場合JAS法第19条
罰則1年以下の懲役または100万円以下の罰金同上
行政措置表示除去命令、改善命令、事業者名の公表、認証取消など農林水産大臣等の権限

特に注意すべきポイント

  • 海外ラベルにもともと「ORGANIC」などが印字されている商品でも、有機JAS認証を取得していなければ削除または覆い隠す必要があります。
  • そのまま販売すると、「表示を行った者」として輸入者や販売者が罰則の対象になる可能性があります。

酒類業者が今やるべき3ステップ

「有機JASマーク」は、国が定める有機食品の国家規格に基づき、登録認証機関の審査を受けた事業者だけが使用できるマークです。このマークがない製品に「有機」「オーガニック」などの表示を行うことは、法律(JAS法)で禁止されています。

  1. 有機表示をしている商品をすべて洗い出す。
  2. 仕入れ国・製造者がJAS認証済みか確認。
  3. 認証を取るか、表示を削除して通常商品として販売するか判断する。

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まとめ

  • 2025年10月以降、「有機」「オーガニック」表示には有機JAS認証が必須。
  • 有機JAS認証なしの「有機」「オーガニック」表記は虚偽表示とみなされ、罰則の対象になる可能性あり。
  • 海外製品の輸入販売では、自社取扱品のラベルのチェックと同等国かどうかの確認が重要。
  • 有機JAS認証なしの「有機」「オーガニック」表示は、表示を削除することで も流通可能。

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執筆者情報

大浦智幸 Tomoyuki Oura

アクセス行政書士法人 代表行政書士。2012年の開業以来、酒類販売・酒類製造に特化した支援を行い、延べ約1,800件の免許申請に係る。免許の取得率は100%。 前例の少ない複雑案件(通称“ゾンビ免許”承継)を手がけた経験から、「ゾンビ行政書士」の異名も持つ。