新設法人で銀行口座が作れない!それでも酒類販売業免許は取れる?

法人を立ち上げて「さあ酒類販売業免許を申請しよう」と思ったときに、最初の壁となりがちなのが「法人名義の銀行口座がまだ開設できていない」という状況です。
銀行からは「免許を取得してからでないと法人口座は開設できません」と言われ、税務署からは「法人口座がなければ免許は交付できません」と言われてしまい、板挟みの状態で非常に困った――
こうしたご相談は、申請サポートの現場で非常に多く寄せられています。特に最近は銀行の審査が厳格化しており、従来よりも口座開設に時間がかかる傾向にあります。この記事では、法人口座の要否と、もし準備が整わない場合の現実的な対応策をお伝えします。
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目次
酒類販売免許の申請に必要な通帳コピー提出の理由とは?
国税庁が定める「酒類販売業免許申請の手引き」では、販売業免許申請書次葉5「所要資金の額及び調達方法」について、次の書類を添付することが明記されています。
・自己資金の場合:資金繰表、資金捻出の根拠説明書又は残高証明書等
・融資の場合:金融機関の証明書又は融資者の原資内容を証明する書類
実務では、自己資金の場合ほどんどのケースで申請時に法人名義の銀行口座の預金残高ページのコピー(通帳またはオンライン口座のキャプチャ画面)を求められるのが一般的です。これは、申請時点で所要資金を賄える十分な現預金があるかを審査するからです。
なお、法人登記簿に記載された資本金額や直近の決算書は、申請時点の資金状況を直接証明するものではないため、証明書類としては認められません。
法人口座がない場合の対応策
一部の金融機関では、「酒類販売業免許を取得してからでないと法人口座は開設できない」と案内されるケースがあります。一方で、免許申請時点で法人名義の銀行口座は原則必要とされており、未開設のままでは申請に支障が出る可能性があります。そのため、法人口座がない場合は以下の対応策を①から④の順に検討・実行することをお勧めします。
① 個人口座の活用(まず最初に行うべき準備)
酒類販売業免許の申請をスムーズに進めるため、まず代表者等の個人口座に会社資金のみを入金し、資金状況を明確にしておきます。設立時に出資金を払い込んだ通帳コピーを提出するとよいでしょう。この通帳のコピーを、酒類販売業免許申請書と共に税務署へ提出します。
② 銀行への法人口座開設申込
「免許申請中」である旨を銀行に説明し、申請書控え等を提示して法人口座開設を申込みます。銀行によっては、申請中でも柔軟な対応をしてくれる場合があります。
※②で難航した場合は、速やかに③や④へ切り替え、申請スケジュールに遅れが出ないよう対応しましょう。
③ 他の金融機関を検討
信用金庫やネット銀行など、口座開設条件の異なる金融機関に申し込むことで、早期開設が可能となる場合があります。地域密着型の金融機関は比較的柔軟に対応してくれる傾向があります。
④ 税務署への相談
「免許が下りないと口座開設できない」と銀行から案内された旨を税務署に伝え、代替案を確認します。場合によっては、①で提出した個人口座で認められるケースもあります。
💡ワンポイントアドバイス
大手都市銀行や地方銀行は、審査が厳しく、法人口座の開設に時間がかかる傾向があります。さらに、中小企業や新設法人に対しては融資に応じてくれないケースがほとんどです。そのため、スピード感と将来の資金調達のしやすさを重視する場合は、地域密着型で柔軟な対応が期待できる信用金庫・信用組合、あるいは手続きが早いネット銀行の利用をおすすめします。
法人口座の開設がなかなか進まない場合でも、申請を諦める必要はありません。代表者等の個人口座での申請が認められる可能性がありますので、管轄税務署または酒類販売免許の専門の行政書士に相談しましょう。
まとめ
・酒類販売業免許の取得には、原則として申請者名義の法人名義口座が必要
・まずは個人口座を用意し、税務署に申請することが第一歩
・法人口座の開設は大手銀行や地方銀行を避け、信用金庫・信用組合・ネット銀行を優先
・税務署に相談し、代替案を確認
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